|
|
|
クラムには
・クラム(Clam)
・スティンキービーバー(Stinky Beaver)
があります。 |
|
1. クラム
クラムは非常に高度で強力なディフェンスですが、リスクのあるディフェスでもあります。クラムの考え方は、”マンツーマンのディフェンスでは絶対に守りきれない”ということが前提になっています。1990年初頭のニューヨーク・ニューヨークは、圧倒的なタレントを擁してUPA5連覇を成し遂げましたが、彼らのこのときのオフェンスは完璧な2パーソンオフェンスでした。このときライバルであったボストンは、彼らのオフェンスに対抗するためにはマンツーマンとゾーンディフェンスだけでは限界があると考え、クラムを考案しました。最初にカットしてくるミドルのプレーヤーを挟み込んで抑えるというものです。マンツーマンで付いているように見えながら、実は各プレーヤーがポジションを持っていて、スタックを挟みこんでディフェンスしているのです。
クラムの基本的な動きは図の通りです。 |
|
(figure7)
スタートの状況は図の通りです(figure7)。多くの場合はフォースフォアハンドになります。
1にはマーカーの強い人が、2と3は基本的にマンツーマンでつきます。4,5,6の各プレーヤーでミドルとディープを囲むように守り、すべてのロングパスに対して7が対応します。この状況ではマンツーマンと区別がつきません。 |
|
|
(figure8)
ではハンドラーcがカットするが3に抑えられ、fがミートを5に抑えられています。このとき4のポジションがフォアハンドよりに修正されている点に注意してください。 |
|
|
(figure9)
はハンドラーbがディスクを受けたところです。QBはミドルゾーンへクリアしようとしています。パスをもらえなかったハンドラーcはディープカット。ディープfもパスがもらえずスタックへ戻っています。dとgもスタックへ戻っています。5はディスクとcの間をチェックし、7は縦奥をケアして少しポジションを縦側へずらしています。3と4でdの動きをチェックし、ファーサイドの6はgとeを視野に入れている。 |
|
|
(figure10)
ではaとcがハンドラーカットを試みていますが1と3に抑えられています。いったんスタックに戻ったfが再度縦側にカットしてきますが5が抑えています。eはディープへカット。4と6はカウントが詰まってきたらそれぞれgとdをタイトに抑えます。この状況ではすべてのオフェンスプレーヤーが抑えられてしまっています。 |
|
|
2. スティンキー(Stinky Beaver)
クラムとほとんど同じです。スローオフ時点では、マーカーがどちら側を止めるかは決めないで、相手のQBがディスクを取って最初にスイングした方向にトラップをかけて追い込みます。バックハンド側へディスクをスイングしたらその時点からずっとバックトラップをかけて、後方のプレーヤーはクラムの体制をとります。どちらにディスクがいってもトラップがかけられるという点ですぐれていますが、最初のパスが左右にスイングされなかったときなどには、逆にマーカーがどちらにつくか決められず後方のディフェンスが混乱する可能性がありリスクを伴います。近年のアメリカのクラブチームのディフェンスがトラップ中心であることと、オフェンスがサイドラインにスイングして攻める形が多いため、時に有効な手段になりますが、フォーメーション通りの動きをしない相手には逆効果になることがあります。 |
|
トランジションについて
トランジションは完成度の高いオフェンスを持つ相手に対して大変有効です。単純にゾーンを仕掛けても風がないときは簡単に破られる可能性がありますが、下手にマンツーマンで守ろうとすると相手の狙い通りに2パーソンで走りきられることになります。こういったとき、クラムやゾーンで相手のフォーメーションを崩し、ゆっくりパスを回してきたところでマンツーマンにディフェンスをスイッチすれば非常に効果的です。最近はクラムも最初の数本のパスまでしか使われないのがほとんどのようです。 |
|
トランジションのかけかたにはいくつかあります。
1. |
事前にパスの本数でチェンジすることを決める方法:間違いが少なく確実ですが、最初に仕掛けたクラムやゾーンが効いていたりした場合に逆効果になる可能性があり、融通がきかない決め方です。 |
2. |
ディフェンスリーダーのサインでチェンジする方法:これはいいタイミングを狙って替えることができますが、サインが聞き取れなかったり全員の足並みが揃わない危険があります。相手にチェンジしたことがすぐわかることも多いです。多くのチームはこの2つを組み合わせたりします。 |
|
|